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シンガポール生活あれこれ


by mapleleaf1217
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いつまでも たくさん

ノーベル文学賞を、フランスの作家 ル・クレジオ が
受賞したようですね。

日本でも人気のあるらしいこの作家の作品を
残念ながら、私はまだ読んだことがありません。

でも、名前だけは知っていました。 
「モンド」という映画を観た事があるからです。
「MONDO」 / トニー・ガトリフ監督・脚本 / 1995年 / フランス
これは、ル・クレジオの「海をみたことがなかった少年」という短編集の中の
冒頭を飾るお話を、割合忠実に映画化した作品なのだそうです。
映画のパンフレットで、「ル・クレジオ」の名前を見つけたとき
面白い名前の作家だなあ・・と思いました。
フランス語は良く分かりませんが、
Le は確か英語のThe に相当する言葉だったような・・

お話はとってもシンプルです。
(だいぶ前に見たので、細部は忘れてしまったのですが・・・)
ある日何処からともなく、一人の少年がやってきて
ある海辺の町に住み始めます。
町を歩いては、気の合いそうな大人を見つけて
友達になっていきます。
モンドの友達になる大人たちは、
どこか社会からはみ出してしまったような人たちばかり。
海辺に住む老人からは、文字を教わり、
大道芸人の芸をみて、
一人のおばあさんは、モンドの為にいつも扉を開いて待っていて
くれました。
そんな生活を送っていたのに
ある日突然に、モンドは姿を消してしまいます。
それは、あまりにも突然で手品のようでもあったので、
大人たちはモンドなんていう少年は、初めからいなかったのではないか・・・
と思うようになるのです。
けれどもある日、
老婆が海辺で文字の書かれた石を見つけます。
そこには
「いつまでも たくさん」と書いてありました。
そして、ああ、やっぱりモンドはここにいたんだな・・・と思うのです。

モンドという素性も分からないない少年に
根掘り葉掘り質問したりしないで、
ただ彼そのものを受け入れている大人たちの寛容さも
印象的でしたが、
やはり最後の言葉
「いつまでも たくさん」という言葉が心に温かく残りました。。

いつまでも たくさん ありがとう
いつまでも たくさん 大好きだよ
いつまでも たくさん 覚えていてね・・・

このシンプルな言葉の中に、それこそ沢山の思いが含まれているように
感じられます。

最後にこの言葉を聞いて
映画を観ていた私は、ちょっと切なく、そして温かな気持ちになりました。。
by mapleleaf1217 | 2008-10-10 03:20 | 映画